スペーシス
ズレた天才
科学脳でなんでも因果関係を求めるくせに、身近なところでは妙に抜けていて、
不思議な出来事や偶然にいつも振り回される天才——。
観測できないものほど、真実に近いのでは?
スペーシスくんは、休日に部屋を片付けていた。
本棚の奥から、古い本が見つかり、
開くと一枚の写真が落ちる。
写っていたのは——
存在しないはずの「青いコスモス」
その色は、科学的にも観測されていない。
だが、写真にははっきりと日付がある。
2022 / 02 / 02
思い出せない。
けれど、この写真だけは確かに“自分のもの”だと分かる。
――この日から、スペーシスくんの日常は
静かに“ズレ始めた”。